蛙の目借時

なんとなくなんでもなく

ごきげんよう

鎌倉殿、第20回、義経くんってばさーーーっ;;


 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、昨日は第20回「帰ってきた義経」でした。
 よ、義経っっっっ、九郎殿、きみって奴はーーっっっ……。

 

かつて楽しく元気だったころの義経くん……

 

 義経が最期を迎えることはわかっていました。この有名な人物をどのように描いて見せるか。今作でのキャラ造形はすごい意外でした。
 最初、菅田将暉のキャスティング的には、若き美形の天才武士というこれまでどおりのイメージになっていくのだろうと思ってました。


 でも登場からして、何この九郎殿、自由すぎる( ゚Д゚) という驚きいっぱいで、美形青年じゃねえや。野生児だね。こわ。という印象。いやもちろん美形青年なんだけど、行動の破天荒さの方がすごくて、いや~菅田将暉義経、独特の味わいだなあと、私はすっかり魅了されました。

 行動が読めなさ過ぎてこわいところもいっぱいありましたね。
 頼朝兄上大好きー!!! なのはいいとして、間の兄たちはむしろ邪魔、って追いやったり。暴力に躊躇ないし。
 そうだった鎌倉武士たち、邪魔者即殺すっていう思考なんだよね。こっわ。怖いんだよ。人懐っこくもある優しさと人殺しとがすんなり一人の人物の中にあるのが。
 さらに常人の発想を超えて戦上手に殺しまくってみせる義経、ほんとうにかっこよく、わけがわからず、こわかった。素晴らしかった。平家を滅ぼした男……。


 頼朝にとって血のつながった兄弟。自分に変わって平家を滅ぼしてくれた弟。可愛い弟よ、と思いながらも、天才として人気を博し、強い力を持つ人間は許せない頼朝よ。ツライ。なんで。義経くんはすっと兄上大好きだし、調子にのっちゃってても兄上と仲良くしたいのにさ~~~。

 

 小四郎くんに、いろいろ言われてたのに、結局奥州に帰っていった義経
 育ての親だった秀衡が死亡。残された兄弟の中は悪く。義経は兄弟にとっては邪魔。
 それでも一人百姓仕事をして生涯を終えられただろうか。戦は望まない、と義経が思っていたとしても、彼をかつぐ人間は必ず出てくるし、戦になるとなれば義経は、また楽しく戦うだろう。

変装しながら奥州まで逃げ延びたのか。

野良仕事してたのにね。

 素直に兄上ーって話しあえていれば。でも、無理なのか。頼朝。頼朝ってばーっ。

 

 昨日の義時はもうすっかり頼朝の側、鎌倉殿の権力側のふるまい。頼朝にうまく奥州を潰すよう差し向けられ、素直に淡々と計略を仕込んでいく。
 暗い目をしてた。もう泣いてない。小四郎くん~~~。ツライ。

徹底的に受け身の主役。鬱々と闇をためていく姿が素晴らしいよ小栗旬義時。


 静御前も女の意地ですか。きれいだった。
 正妻、里も。かつて刺客がきたのは彼女の手引きだったと、ここで告白するのかーっ。と緊迫感に震えていたら、九郎殿ってば、お前かーってサクッと里を殺すんだもの。怖いよ;;


 そういう男なのだ義経
 感情、行動、素直すぎる。人殺しでさえもスムーズにやっちゃえる。殺した後から、自分がやってしまったことを嘆く。
 里の行動を招いたのは義経のせいで、女二人を争わせる場からしれっと逃げたりして、気持ちを思いやるとか全然しないんだもんなー。酷いんだよ義経。自分の感情はわーっと素直に行動に表すけれど、他人にもいろいろな感情があるってことを、気にしないんだよー。酷いよー。
 だから、人が思いつかないようなこと、人がやらないようなことを、平気でやってしまう。強い。こわい。

 里を殺してしまったあと、そのまま我が子も殺したんだなあ……。あんな小さい子供の足だけ見えている死体のシーンの凄味よ。優し気に悲し気に泣きながらサクッと殺したのかなあって思う。そういうシーンが見える気がした。そんなドラマ作りで築き上げてきた今作の菅田将暉義経。とてもとても良かった。大好き。

 

かつて無邪気に戦大好きだった義経くん。

 

  武蔵坊弁慶の、千本矢を受けてもなお仁王立ち、みたいな仕込みに、なんか板いっぱいつけて防御、みたいな笑っちゃうシーンをはさみながら、小四郎くんを呼んで最後に語り合うシーンも最高だった。
 もう終りだ。もう自分たちは死ぬ。という別れ。「世話になったな」「よしてください」と笑って別れる主従、二人の関係の良さが伝わってきて、大好き。

 そして小四郎くんには、鎌倉を攻める計略を話して、景時ならわかってくれるからと手紙を託していくの。楽しそうに。
 いいシーンだった。共に戦う仲間だったのに。
 


 平家を滅ぼすためだけに生まれてきたような人だ。と、前回言われてたんだっけ。義経。平家を滅ぼしたあと、これから誰と戦えばいいのだ、と、空虚に笑ってたの。平家を滅ぼすためだけの、天命を生きたのか。寂しかった……。

平家を滅ぼした男……。


 頼朝が、送られてきた首桶を抱いて泣くシーンもよかった。

 お前の口から戦の勝利を聞きたかった、と。そう、そういうことをちゃんとやれていれば。ずっと義経は兄上と話したかったんだよ。兄上が褒めて喜んでくれれば。きみたち兄弟さあ、お互い大事なくせに、なんで話せなかったんだよ……。死体にしか、話せないの、辛い。死体ならばもう自分を裏切らないから。そうなってから泣くんだなあ頼朝。

静御前の舞を見ながら九郎くんのこと思い出したりしたかな。

 頼朝がめちゃめちゃ不安で血のつながりや土地のつながりの坂東武者たちの中で孤独でどうしようもなかった時、九郎がやってきて兄上―って泣いて、喜んで抱き合った時、本当に本当によくきてくれたっていった思いは本当だったろうに。首桶を抱いて泣くシーンはあの時のことを思い出したけど、あの時とはこんなにも違ってしまった二人という哀しみが。沁みました……。

 大泉洋もほんっとうまい役者なんだよなあ。

 

 

 奥州の藤原秀衡田中泯さんで、出番は少ないながらほんとうにその、そこにいるただそれだけで素晴らしい存在感でうっとりでした。

かっこいいよ素晴らしいよ。凄い。


 昨日の、九郎を迎えた姿。死のシーン。良かった。そして何より、死後の、九郎殿の夢幻に現れる姿。さすが良かった。
 土をすくって見せるの。奥州という地の重み。そして現世を離れた浮遊感。きれいだった。天上に昇ってゆくのかと思った。やっぱり最高のキャスティングしてるよなー。大満足でした。

 


 孤独を深めていく頼朝。小四郎くんは家族の前に笑顔を作って帰る。次回はなんか八重さんに何かありそうな予告でめっちゃ怖いけれども、小四郎くん、大丈夫かな。いやもうすっかり暗い目をしているのに。こわい。


 ほんっとにドラマ作りが上手くて、キャストも上手くて、見応えありまくりで最高に面白い。
 カメラに背を向けたまま喋ってるシーンが昨日の回、けっこう印象的に残ったの。殊更に作った顔とか見せなくてもだいじょうぶという、キャストスタッフの信頼の演出なんだろう。素晴らしい。
 毎回毎回、どうして、と心えぐられながらも面白くて震えてます。ますます楽しみです。あと、半年っ。

 

 

今日の散歩のお花でも……。花はいいねえ。