昨日、映画「パピヨン」(製作年2017年 製作国アメリカ・セルビア・モンテネグロ・マルタ合作)を見てきました。
主演、パピヨンをチャーリー・ハナム。ドガをラミ・マレック。
で、面白かったというか、なるほど過酷すぎます;;こわ;; とか思ったのだけれども、まあ、なるほど、ねー。という感じでちょっと、まあ、ん~~? 旧作はもしかしてもっと面白いのでは? という気もしないでもない、という所でした。
で。アマゾンプライムでレンタルにあったので、今日見てみました。1973年の「パピヨン」
主演、パピヨンにスティーブ・マックイーン。ドガがダスティン・ホフマン。
正直、今日は昼間っからワイン飲みながら見たりしたのでほわ~っとなってはいるのですが。でも見比べてみてよかった~という、ざっくり感想メモしておきます。
*新旧の映画「パピヨン」のネタバレしまくりです。
ものすごくざっくり言うと、私個人の映画見た面白かったという満足感では、1973年「パピヨン」の方が面白かった。
単純にパピヨンのかっこよさ!とかパピヨンとドガ二人の関係にフォーカス、として見れば、新作のほうがぐっとくる。
スティーブ・マックイーンもそーとーかっこいい俳優なんだと思うけど、ほんっとボロボロになっていく、食事半分にされたらゴキはもちろんムカデも食う、みたいな狂気の虚ろさ。かっこいいどころじゃないっす。酷い。
チャーリー・ハナムのほうが沈黙の二年とかでも高潔さみたいなのがある感じだったかな~。肉体美みたいなのもチャーリー・ハナム見せてくれたよね~。だんだんやつれてがりがりになっていくんだけど。ツライ。
そしてドガ。ダスティン・ホフマンのなんだかすっとぼけさが、なんかやっぱ、いい~。
勿論ラミ・マレックも、頭でっかち、繊細そう、あーこいつ流刑地では無理だダメだ感はすごくて。芸術家肌なんだな~っていうのもわかる~って感じだし。よかったんだけど。
ドガとパピヨンが、新作だと完全に守ってやるよ、俺の女だから他の奴は手を出すな、的なことにしてるんだなとなってた。旧作だと、二人の絆はすごくあるけど、そこよりはもっと、パピヨンその人にフォーカスいってる感じだな。
1973年のは、流刑地といっても刑務所の外がある、ということがわかる。新作は、始まりこそパリの街で、濡れ衣着せられて、俺は絶対脱獄して自由になる!って風になっていくのだけれども、でも映画で描かれるのは基本的にずっと流刑地、僻地、汚い、治安悪いというか治安とかない、ヤバイ無理ここにいたら死ぬ、ばっかりな感じなんだよね。
1973年のは、なんかそれなりに、もうそもそも流刑の島なので、そこで各自自活しちゃってます、みたいなことになってる感じがした。過酷であっという間に簡単に囚人は死ぬっていうのは変わりないけど……。
脱獄試みる刑務所イベントが、新作は「キング・コング」上映会だったね~。旧作は、音楽会でした。この、二回目脱獄のシーンのドキドキハラハラ、脱獄するぞするぞ、っていう駆け引きとかやっつけ感は、新作のほうがぐっと盛り上げてきます。
旧作だとなんか、わりとあっさり感じた。旧作だけしか見てなければ勿論ぐっとドキドキハラハラシーンだと思うけど。
病院で、鍵番の気をひけよ、っていう役割するマチュルデ。新作だと、若いから狙われるんだね、って感じで、キレる若者感だったけれども、旧作だと、ゲイなんだよ、ってセリフの字幕出てた。
看守がちょっかい出す時に、ベッドの彼の口に花を咥えさせて股間まさぐる、とゆー、耽美エロな演出されてましたよ。きゃ~~~(*ノωノ)
新作だと、行為としてのそれはあったけどゲイだからみたいには言ってなかったですね。
そして、船でなんとか海へ。という途中、船を都合してもらう、ハンセン氏病ばかりの人が隔離されてるらしい島に行って、というシーンが、新作ではまるっとない所。まあもちろん脱獄という主題に絞ればさくっとカットもありかなあ。
けど、そういう、なんていうんだろ、社会から見捨てられたマイノリティみたいな所もちょっととはいえ視線広げてた旧作だったのかなと思う。葉巻を回し飲みすることでパピヨンを試そうとする。パピヨンが最初恐れながらも、ぐっと顔をあげて葉巻吸って見せることで、合格、って感じなの。その静かな怒りみたいなのもあったりするの、広がりだなと思う。
そして、船でたどりついた、あれはコロンビアなのかな? 原住民としばし平和な日々、みたいなのも結構長かった。新作だとすごくあっさりさっぱりすぐ捕まっちゃうんだけど。
海でもさー。
新作は、嵐にあって、小舟が沈むかも、という争いの中で、足を骨折してるドガは邪魔だから殺す、みたいなやつと、反撃するドガが結局は殺してしまう、壮絶なシーンがあったのだけれども。旧作はなかったですね。
ドガが、最後、パピヨンとはいかない、ということにするの、新作だと私はあの時結局人殺しになったんだ俺は、という気持ちがあるんじゃないかなあと思ったのでした。
旧作だとそれはなくて。
デビルズアイランドでなんとなくそれなりに、生活、しちゃってるんだ、という感じなのかなあ。海に出たところで生き延びる可能性の方が多分低い。脱獄より、この狭い島であっても、一応生きていくことを始めているドガは、行かない、という選択をするかもなあ、と、思う。
なんにせよさ、なんかもう、みんなみんな、静かにちょっとずつ狂気の中にいて暮らしてるんだよねえ。凄い酷い。一見まともみたいでも、それは、そういうことは、普段文明生活してるときにはありえませんね?? ということの連続。怖い。
最後の脱出だってさー。本土まで40キロ。ヤシの実つめた袋につかまって潮流に乗っていけばいい! って。いやいやいやいや、普通それ、そんな、計画とも言えない計画。無理っしょ。ツライ。
それでも、青い海に青い空。飛び込んだパピヨンは飛び立ったということなんだなあ。
新作の方が、これは実話ベースです、ということを新設設計で見せていた。生き延びたパピヨンの自伝を出すんだなという所まで映画になって。
旧作も一応終わりにナレはあったけど、そういう強調はなかった。実際本が出たのが1969年だとかで、映画化とかもすぐだし大ニュースだったのだろうし、みんな知ってるあのベストセラーの映画化!みたいなことだったんだろうなあと思う。
しかし何故今リメイクしたんだか。ん~?
まあ、新作が見やすい感じではあるかなあ。でも1973年版を何回もリバイバル上映すればいいのでは。なるほど名作と名高いんだね、わかりました納得、と見終わっての満足感です。まあ、新旧両方みていっそう満足たかまりました。
すごいですね。映画って素晴らしい~。