蛙の目借時

なんとなくなんでもなく

ごきげんよう

おかえりまでの時間

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後半のポスター


 朝ドラ「おかえりモネ」、終わりましたね。
 あまり熱中してというわけではないなりに、朝ドラを見る習慣になっている私はそれなりに楽しく見続けていました。
 楽しく、というのはちょっと違うか。重い、辛い気持ちをいっぱい受けながら見続けていました。

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最初のポスター

 (公式インスタとかツイッターから画像いただきました)

 主演、清原果耶。私は前にもNHKのドラマで見た事あって、うっわすごいきれいな人、と思った。お若いですし。ティーンの頃だよね。でも本当に綺麗な人という感じだったのすごい。印象に残って一発で名前覚えた。だから、朝ドラ主演ってとっても納得だったし楽しみでした。
 物静かに、想いを内に秘めるナイーブさを見せるのがうまいというか自然。繊細で脆そうなのに、誰かに頼るのではなくて一人で立つ感じ。自分で考えて自分で歩くという姿が綺麗。

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オープニングの感じ

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実際あの軽やかな布、特別に染めて作って、その中を走ってというタイトル映像、撮った時の写真か。きれいだなあ。

 

 百音の姿は、前半だと自分の道を懸命に探り、周りの助けも得ながら進み、後半には離れてきた地元、自分の周りの人を受け止め続ける受け身の姿だった。引っ張っていく主演ではなくて、自分が自分を受け入れて、だから大事な人のことも受け止めるっていう成長の姿だったなあ。素晴らしい主演でした。ほんっと、彼女に思うように生きて育って欲しいと勝手に願ってしまう。きれいな人よ。


 舞台は東北。気仙沼。亀島。そこで生まれそだった永浦百音が主人公。
 高校卒業後、登米森林組合でまずは見習い採用になって働いている。

 百音は、気象予報士の浅岡さんに出会って、気象予報士になって、人々の暮らしに、災害予防に、命を助けられるように、役に立つ仕事をしたい、と成長してゆく半年のドラマ。

 

 「あまちゃん」を最初思っていたのだけれど。あの時は実際の震災からまだ二年たたないくらいだっけ、そういう時のドラマだった。めちゃめちゃ面白かったよ。大好きで熱中してみていた。

 あの頃の感覚とは、ずいぶん違ってきてるなあと思った。まあ当然、全然別のドラマだし違うよね。でもあの頃よりは広くいろんなところまで視野が広がってきてる気がする。そういう、時間が過ぎることでしか手を広げられないところある。

 

 舞台は現代。少し前、東日本大震災が大きなテーマになっている。その時百音は15歳かな。父と一緒に高校の合格発表を見に行っていて、島から出ていた。津波を目の当たりにした島の同級生や妹たちと違って、地震津波が少し落ち着いて船で島へ帰れるまで、一日?二日目くらいかな、みんなと会えなかった。その、同じでいられなかった、本当に津波の被害にあった人と自分は違う、という苦しみから、抜け出せず、高校卒業後、島を離れたいと言って登米に出たのだった。

 あの時、震災の被害にあった、あわなかったの程度が人それぞれなのはどうしようもなくて、仕方ないこと。いくら頭でそうはいっても、気持ちが割り切れないのも仕方ないこと。
 被害に遭ったひとの中でも、実際家族を、家を亡くした人と、そうではなかった人との違いもある。

 あまりに大きな喪失の中に、いろんな違いがあって。震災から10年の今つくられるドラマは、その一人一人の違い、それぞれのこころ、それぞれの痛みを描いていたのだった。

 島を出た百音に、「おかえり」を言える、あの時その場にいなかったことを百音自身が受け入れて強くなって、帰ってきたことを周りも受け入れる、その必要な時間が、百音の場合はこういう風にこのくらい、かかったんだよというドラマ。

 ほんとはそんなの答えはないんだよね。このドラマの中で、それぞれなりに、少しずつ変化し、歩みだし、光がさしてきた。けれど、終りじゃないということも、示していた。ドラマの中の現代。わたしたちの世界のどこかっていう感じ。終りになっても、おわりじゃなくて、最終回では数年後ってことで、2021年より少し先だった。多分来年の夏なんだろう。

 菅波先生は呼吸器科の医師。その先生が、休暇をとって、島まで旅行して。久しぶりに会った百音とハグを、「いいんじゃないですか、もう」と頷いて、ハグすることができる未来。そういう未来にこの世界がつづいてゆきますようにという祈りを込めた終りで、終わってなくてあかるい海辺を歩いてゆく二人だった。
 最終週にきてまた妹のトラウマとかコロナ禍に向かう菅波先生とか問題があって、え、どう終わるの? と思ったんだけど、でも、ああこのドラマは今の現実の世界のどこか、隣、と思った。震災の復興とか、コロナ禍とか、終わってないことをテーマに盛り込んで、誠実に優しく丁寧に生真面目に、描くのだから。終わってない。
 簡単な答えはないし、すっきり解決はしない。

 みーちゃんはこれからも何度も心の苦しさがぶり返すかもしれない。でもお姉ちゃんはずっと何度もみーちゃんの気持ちを聞いて受け止める。
 お父さんは牡蠣の養殖を始めて、でも簡単にはいかないだろう。
 りょーちんは船出するけれど、海が荒れる日は必ずあって、そのたびにみんなが心配する。
 新次さんは農業お手伝いだけじゃなく本格的にやるかもしれなくてでもまたお酒飲んで暴れる時もあるかも。でも、コージはまた絶対手を差し伸べる。
 おじいちゃんは年をとっていく。別れの時がくる。でもおばあちゃんらぶらぶハニーといっしょになって永浦家を見守るんだろう。
 すーちゃんは無事まもちゃんと結婚するかな~。ミツオはちゃんといい坊さんになりそう。これは安心感があるな。公務員くんはしっかり真面目に勤め上げそう。
 百音は利益をなかなか出せなさそう。菅波先生は地方の医療にくるまでにまだまだ時間がかかりそう。でも、そんな二人であることを二人ともが納得して信じあってる。
 いろんなキャラクターがいて、みんな違ってて、どんな道にすすんでもこれが正解というのではなく、この人にとってはこういう風にいくのがいいんじゃないかな、でも違うと思ったらまたやり直して、別の道も別のやり方も、やってみればいいんじゃないかな、というくらいの優しさだった。終わらない。つづいていく。

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クランクアップの写真、みんなステキ~

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先生~お疲れ様です。

 

 あの時15歳だった子どもたちに、10年が過ぎて、大人になっていくまだまだ前途広がりまくりの若い世代に向けたドラマなんだな。朝ドラ視聴世代って、高齢層な気がするけど、でもステキキャストそろえてるから、録画やオンデマンド視聴する若い人がきっと増えてて、ということなんだろう。

 大人がこれをみて、若者たちよ、好きに生きろって思うといいなという願いもあるんだろう。
 ステキ大人、ステキ老人のサヤカさんやおじいちゃんたちもいて、あー、ああいう年寄りになりたいなと、大人も思うドラマだった。

 

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かっこいい~~。こうはいかないけど、ステキに年をとりたいぜ。

 


 浅野忠信がさーーーー。朝ドラで漁師!? というのが驚きだったんだけど。複雑で重くて苦しくて、やさぐれて酷い親で、ほんっとに生きるもがきを体現してて凄かった。こわかった。んでかっこいいんだ。見応えありましたわ。満喫満足。凄い、めちゃめちゃいい芝居を見たという朝のひとときをありがとう。途中苦しくて、ライデンさまになって目を光らせてくれーとか妄想に助けを求めたりしてごめんなさい。浅野忠信のふり幅すごい。

 

 

 

 

 朝ドラ、習慣として見てるので次も見ます。「カムカムエヴリバディ」、三世代ヒロインだとか。基礎英語講座の物語なの?? 初代ヒロイン、上白石萌音深津絵里が二代目ヒロインだそうで、好きだし楽しみ。三代目ヒロイン、川栄李奈、と。昭和から平成、令和へと? どうなんだろう。のんびり楽しめるといいなと思います。

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かわいいね。